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SARASVATI
三宅千鶴のオリジナル小説ブログ 

エピローグ-1

 エピローグ

 速水玲子は、その知らせを社長室での執務中に受け取った。

 今日の午後、カリフォルニアに発った高橋部長から届いたメールだ。
 そこには、同伴するはずだった藤崎当麻が急な病で直前にキャンセルしてきたと書かれていた。またそう言う事情なので、急ぎ現地での通訳を手配して欲しいとも簡潔に記されている。

(その病ってね、恋の病と言うのよ、高橋くん。つける薬もないわけだし、しょうがないわよねぇ)
 玲子はすぐに秘書室の塚原に電話をかけ、カルフォルニアでの通訳を手配するように指示した。
(それにしても、私の命令をドタキャンするなんて。いい度胸してるじゃないの、当麻)
 ムッツリ考えていると、また高橋部長からメールが届いた。

 開いてみると、書いて寄こしたのは同じくカリフォルニアに渡った井ノ内課長だった。
 内容は、当麻と貴大の今後を案じる、より個人的なものだった。
 どうやら、当麻が玲子の孫であることも、高橋から聞き及んでいるニュアンスが文面に含まれていた。

(ああ、やっぱり。当麻は彼を追って大阪に向かったわけね)
 そう思いつつ、そろそろ藤崎当麻が自分の孫であることを公表していい時期なのかもしれないと考えた。

 当麻と交わした最初の約束では、自分の体調が回復するくらいまで、ほぼ3年くらい会社の事業を手伝って欲しいと頼んでいた。
 それから先は当麻が望む未来に向かえばいいと考えていたが、佐野貴大をこの会社で囲っている以上、彼はもうどこにも行かないだろう。あわよくば、そのうち会社経営にも興味を持ってくれるかもしれない。

(いい感じで進んでるじゃないの)
 まぁ、ほぼ、玲子の仕組んだ通りに事は運ばれたようだ。
 玲子は車椅子を転がし、広い執務室の窓辺から都会の夕暮れ空を眺めた。
(でも、これで大阪本社に、有能な人材を二人も取られてしまうことになっちゃったわね)

 二人の仲がもし修復できたのなら、当麻を大阪本社に異動させるのはすでに心に決めていたことだった。
 東京本社で二人の関係がウワサとなれば岡田みたいな古参の幹部たちがうるさく言ってくるだろうが、大阪本社は国際色も豊かでこっちよりもずっとドライな社風だった。
 当麻も彼と一緒にまた働けるのなら、喜んで玲子からの異動のオファーを受け入れることだろう。

 それに、昨夏に倒れた時は体調に自信を失って当麻に頼らざるを得なかったが、その後の半年で精神は回復し、熱心に取り組んだリハビリの成果で今は支えがあれば立てるようにもなっている。
 人生の終盤に差し掛かっているのは確かだが、玲子はまだまだ現役を続けていけると自信をもって思えるようになっていた。

(まぁ、二人とも失う損失を考えたら、上出来な結末でしょうよ)
 玲子は満足げに眼を細めて笑う。
(あの二人じゃ、ひ孫は望めないでしょうけど、有能な研究者を今後たくさん育ててくれるはずだし)
 玲子は、極楽浄土をなすあの世があると伝えられる西の茜色をした空に向けて言った。

「あの二人を軸にして会社はますます繁栄していくことでしょう。彩音、私もこの人生に後悔を残さず終われそうよ」

 当麻を生み残してくれてありがとうと、今は亡き愛する娘に語りかけた。

*****   ****   ****   ****   ****

「はあっ……あっ……んっ!」
 もう何度、抱かれたかわからない。

 またしても、奈良のホテルをキャンセルさせられ、貴大は当麻の運転するランクルで前回泊まった大阪のホテルに連れ込まれてしまっていた。
「あの夜からもう一度やり直したいんです」
 と、真顔で迫られたら、貴大としても無下には断れなかったのだが……。
 
 それにしても。

「はっ……あぁ……もっ…うッ!」
 後孔を舌と指で執拗に弄られ、サオを口淫されて、頭の中は沸騰しそうにまで熱くなっていた。
「ほら、もっと悦ばせてあげる」
 先まで両足を抱え上げられ、乳首をきつく吸い上げられながら正常位でガンガン男根を突き込まれていたのが、今はひっくり返され獣のように四つん這いになって後ろから男に犯されている。
 グチュグチュと、肉棒と肉襞が交じり合う淫靡な音が、二人の荒い息遣いと相まって耳奥にまで響いてくる。

「佐野さん、愛してるッ!」
 当麻が耳に噛みつかんばかりに叫ぶ。
 互いにどれだけ求めていたのか、求められていたのか。離れ離れになっていた苦悩の時を取り戻したいような、切ない叫びだ。
「とうまっ!……と…ぅ…まッ!」
 貴大も顔を押し付ける枕を噛み、絶え絶えに彼の名を呼ぶ。
 激しい抽送で体内を抉られる苦痛も、愛する男に与えられるものであれば快楽へと昇華していく。密着した腰を揺すぶられながら、何度も吸われて敏感になった乳首を爪先で押し潰され、捏ねられて、貴大は悲鳴に近い嬌声を放った。

「はぁっ!ああーぁッ!!」
「佐野さん、我慢できない。イクよ!」
 秘部に肉の楔が打ち込まれるスピードが一層早くなる。避妊具を付ける余裕もなく、当麻は貴大の中に己の熱を吐き出した。
「あうッ!!」
 中出しされた飛沫の熱をモロに感じる。貴大の性器を扱く当麻の手に力がこもった瞬間、貴大は一気に昇り詰めて自身の液を放っていた。


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